新型コロナウイルス感染症による 介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱い

更新日:2020年6月9日 / 木村

木村です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、一時的に人員基準を満たすことができなくなるときについて
介護報酬、人員、施設・設備及び運営基準等の柔軟な取扱いが実施されています。

主な取扱いは、以下のとおりです。

【基本的な事項】
新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に人員基準等を満たせなくなる場合、介護報酬の減額を行わない等の柔軟な取扱いが可能
訪問介護の特定事業所加算等の算定要件等である定期的な会議の開催等について、電話、文書、メール、テレビ会議等を活用するなどにより、柔軟に対応可
【訪問サービスに関する事項】

<訪問介護について>
複数回の訪問を行う場合について、新型コロナウイルスの影響により訪問の頻度を増やす必要がある場合、各回の間隔がおおむね2時間未満となる場合であっても、それぞれの所要時間を合算せずに各回の報酬を算定可
生活援助サービスについて、感染リスクを下げるため訪問時間を短くする工夫を行った結果、提供時間が20分未満となった場合、生活援助中心型20分以上45分未満の報酬を算定可(訪問看護も同様の考え方で対応)
身体介護サービスについて、感染リスクを下げるため訪問時間を短くする工夫を行った結果、訪問介護計画に位置づけられた標準的な時間を下回った場合でも、標準的な時間で算定可
新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に訪問介護員の資格を有する者を確保できないと判断できる場合、訪問介護員の資格のない者であっても、高齢者へのサービス提供に従事した事がある者であり、サービス提供に支障がないと認められる者であれば、訪問介護員として従事可
外出自粛要請等の影響で、生活援助及び身体介護のサービス提供時間が、訪問介護計画に位置づけられた標準的な時間を超えた場合に、利用者から請求前に同意が得られ、ケアマネが必要と認めたときは、実際にサービス提供を行った時間に応じた単位数を算定可
<訪問入浴介護について>
新型コロナウイルス感染が疑われる者等への入浴介助として清拭を行う場合、減算せずに算定可
<訪問看護について>
新型コロナウイルス感染症への懸念から訪問を控えるよう利用者等から要請され、医療上の必要性を説明し、なお控えるよう要請があった場合は、当該月の訪問実績があり、主治医への指示の確認等を行った上で、看護師が、電話等により本人の病状確認や療養指導を行った場合、20分未満の訪問看護費を週1回に限り算定可
【通所サービスに関する事項】

<通所系サービスについて>
休業となった事業所と異なる事業所、公民館等の場所を使用して、指定を受けたサービスに相当するサービスを提供した場合、通常提供しているサービス費と同様に、サービス提供時間等に応じ介護報酬を算定可
指定を受けたサービスの形態を維持しつつ、時間が最も時間の短い報酬区分で定められた時間を下回ったときは、当該最も短い時間の報酬区分で算定可
事業所が休業している場合に、居宅を訪問し、できる限りのサービスを提供した場合、提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分(通所系サービスの報酬区分)を算定可
①通所サービスの事業所におけるサービス提供と、②当該通所サービスの事業所の職員による利用者の居宅への訪問によるサービス提供のサービスを適宜組み合わせて実施する場合も、柔軟な取扱い可
通所介護事業所等が、利用者の健康状態等について、電話により確認した場合、あらかじめケアプランに位置付けた利用日については、休業の要請を受けた場合は1日2回まで、休業の要請を受けていない場合は1日1回まで、相応の介護報酬の算定が可能
※ 通所リハビリテーション事業所は、電話により確認した場合、初回のみ算定可
介護予防通所リハビリテーション事業所が月途中で休業した場合は、月額報酬を日割りで計算して算定
通所リハビリテーション事業所が休業した場合、退院・退所日又は認定日から3月以内という要件に該当しない場合であっても、再開日から3月以内は短期集中個別リハビリテーション実施加算を算定可
【居宅介護支援等に関する事項】
新型コロナウイルス感染症の影響により、ケアプランで予定されていたサービス利用等がなくなった場合でも、必要なケアマネジメント業務を行い、請求にあたって必要な書類の整備を行っていれば、居宅介護支援費の請求可
通所介護事業所が、新型コロナウイルス感染症対策として、時間を短縮しての通所サービスの提供や、訪問によるサービスの提供を行う場合、サービス担当者会議の実施は不要とすることが可。居宅サービス計画に係るサービス内容の記載の見直しは、サービス提供後でも差し支えない。
居宅介護支援のモニタリングについて、感染拡大防止の観点からやむを得ない理由があり、月1回以上の実施ができない場合についても、柔軟な取扱い可
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、介護支援専門員実務研修の実習について、具体的な実施方法については、都道府県で柔軟に判断可
特定事業所加算(Ⅰ)を算定している事業所が新型コロナウイルス感染症の影響で体制縮小等を行った他の事業所の利用者を引き継いだ場合、当該利用者は算定要件の割合計算の対象外として可
【施設サービスに関する事項】

<介護老人保健施設について>
都道府県等が、公衆衛生対策の観点から入所又は退所の一時停止、併設サービスの事業の全部又は一部の休業等を要請した場合、基本施設サービス費及び在宅復帰・在宅療養支援機能加算に係る施設基準において、「算定日が属する月の前6月間」等の指標の算出に当たって使用する月数に、その期間を含む月は含めないとする取扱い可
【その他の事項】

<地域密着型サービスについて>
(看護)小規模多機能型居宅介護において、新型コロナウイルス感染症への対策により、サービス提供が過少となった場合、減算しないこととして可
認知症介護実践者等養成事業で修了することを義務づけられている各種研修の開催について、新型コロナウイルス感染症への対応として延期することが可。この場合、人員基準違反・欠如減算としない取扱いとして差し支えない。
<介護職員(等特定)処遇改善加算について>
介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書の期限までの提出が難しい場合、指定権者に対し、4月15日までに説明することで、4月サービス提供分より算定可(5、6月分も準じた取扱いが可)。
令和元年度に取得した介護職員(等特定)処遇改善加算の実績報告書について、新型コロナウイルス感染症への対応により期限までの提出が難しい場合、提出期限を8月末まで延長可。

参考:
厚生労働省「第177回社会保障審議会介護給付費分科会(オンライン会議)」より
資料5「介護保険における新型コロナウイルス感染症に関する主な対応(報告)」PDF