開業医の概算経費

更新日:2020年8月19日 / 山田

租税特別措置法第26条に保険診療収入に対する概算経費を使って税金の計算をする特例があります。

保険診療収入が年間5,000万円以下、かつ、自由診療収入等の他の収入も含めて全収入が年間7,000万円以下の場合に使えます。
経費をそこまで使うこともなく、利益が大きくなってしまう場合に、概算経費で計算した方が有利になる場合は使える制度です。

診療科にもよりますが、通常であれば開業から数年経過すると保険診療収入が5,000万円を超えてしまい、この特例が使えない場合が多いですが、今年はコロナの影響により大きく減収している医療機関も多いと思われます。

減収したことにより、今年だけで考えると保険診療収入が年間5,000万円以下になってしまう場合、実際に支出した経費の状況にもよりますが、この特例が使える、使った方が納税額がお得になる可能性も出てきます。

実際に支出した経費で計算した方が有利か、上記特例の概算経費で計算した方が有利か、どちらか試算して、確定申告の時に選択することができますので、残念ながら該当しそうな場合にはシミュレーションしておくことがいいと思います。

また、医療機関に感染防止対策支援として無床診療所であれば100万円まで、経費の補填をしてくれる補助金の制度もあります。
使った経費の補填ですので、通常であれば税金は影響しませんが、措置法26条の特例を使う場合は、補助金が自由診療収入扱いになる為、概算経費を用いた計算で税額が不利になることもあります。

この辺りも試算した上で、どのような方針を取るか確認が必要です。