更新日:2025年10月9日 / 木村
木村です。
現在、金(ゴールド)市場は歴史的な高騰の真っただ中にあります。国内の金価格は1グラムあたり21,000円台を突破し、連日史上最高値を更新。資産運用や貴金属に関心を持つ人々の間で、大きな注目を集めています。
なぜ今、これほどまでに金が高騰しているのでしょうか? 2025年10月現在の金相場を形作っている、2つの強力な要因を解説します。
第1章:国内価格を押し上げる「ダブルパンチ」要因
日本国内の金価格は、国際的な金の価格(ドル建て)と為替レート(円ドル相場)の両方に影響されます。
現在、この両方が価格を押し上げる「ダブルパンチ」の状態にあります。
1. グローバル要因:世界の不安と中央銀行の買い
金は国際的に米ドル建てで取引されますが、このドル建て価格自体が大きく上昇しています。
地政学的リスクの高まり:
米国政治の不透明感や、欧州・中東における緊張が継続しています。世界経済をめぐる不安が高まると、投資家は法定通貨や株式といったリスク資産から、価値が不変とされる金へと資金を移動させるため、国際価格が押し上がります。
中央銀行による歴史的な購入:
ドル一辺倒の外貨準備を見直そうとする新興国(特に中国やロシアなど)の中央銀行が、記録的なペースで金を購入し続けています。これは金の需要と供給のバランスを根本的に変化させており、価格を押し上げる構造的な要因となっています。
インフレ懸念へのヘッジ:
世界的なマネーサプライ(通貨供給量)の増加が続くなか、紙幣の価値が目減りするインフレに備えるため、実物資産である金に資金が流入しています。
2. 国内要因:歴史的な円安の進行
ドル建て金価格の上昇に加え、円建て価格をさらに押し上げているのが、日本の歴史的な円安です。
円の価値の低下:
日本政府の巨額の公的債務や、金融政策をめぐる不安から、円の価値が対ドルで大きく下落しています。
価格の自動的な上昇:
金はドルで購入するため、円安が進むと、同じ量の金を円に換算した際の価格が自動的に高くなります。国際的な価格の上昇と円安が同時に進行することで、日本の金価格は特に大きく高騰しているのです。
第2章:金が示す「究極の安全資産」としての地位
現在の金価格の高騰は、単なる投機的な動きではなく、世界の投資家が「金」の持つ本質的な価値を再評価していることを示しています。
究極の「無国籍通貨」
金は、発行主体となる国や企業が存在しないため、特定の国の信用危機や、通貨の切り下げ(インフレ)の影響を受けにくい「無国籍通貨」としての側面を持ちます。世界の不確実性が高まるほど、その価値が再認識される傾向にあるのです。
史上最高値圏にある市場の現状
現在、国内の金相場は1グラムあたり21,000円台という、歴史的な高値圏にあります。これは、およそ20年前(2005年頃)の価格と比較すると約14倍にもなる水準です。
この高騰は、金がいかに多くの投資家にとって、不透明な時代における「最後の砦」として機能しているかを物語っています。
金価格の動向は、世界の経済と政治の状況を映す鏡です。この歴史的な高騰局面において、その背景にある要因を理解しておくことは、資産を守り、運用を考える上で非常に重要です。
※注意事項
この記事は、現在の金相場の背景や要因を解説するための情報提供を目的としています。
金をはじめとする投資は、価格変動により損失が生じるリスクがあります。最終的な投資判断は、ご自身の判断と責任において行ってください。誠に恐縮ながら、当ブログでは、これらの情報に基づく投資の結果について、一切の責任を負うことはできませんので、あらかじめご了承ください。
ご自身のリスク許容度や資産状況をよく考慮し、慎重にご検討いただければ幸いです。